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ニュージーランド在住のプログラマがあれこれ書くブログ

デスマーチに復讐する最良の方法。

Twitter で、このマンガが話題になっているようです。

togetter.com


中学校でいじめられていた女の子が、高校に入学してからは堅実に幸せな人生を歩む。一方いじめっ子は高校在学中に妊娠してしまい中退、彼氏には逃げられ、惨めな人生を送る。そんな2人が同窓会で出会って……という話。


筆者としてはどうしても、このいじめっ子に以前参加していたデスマーチプロジェクトのマネージャーを重ねてしまいます。


いじめられていたわけではないんですが、そのプロジェクトでは自分を含めてメンバーのほとんどが一日10時間以上の長時間労働を恒常的に強いられており、ときには徹夜で二、三日帰れないときや、土日が潰れて12連勤なんてこともありました。中には明らかに体に変調をきたし、全身に原因不明の発疹ができたり、自宅で倒れて救急車で搬送されたり、うつ病を発症して休職を余儀なくされたりする人もいました。デスマのあまり人手が足らず、ほかの部署から応援に駆り出されて巻き込まれた人も大勢います。いい迷惑ですね。


筆者も過労のピーク時には、わずか2週間で残業時間が70時間を超えた結果、勤務中に生命の危機を感じ、無断で職場を去り自宅に帰ったことがあります。そのまま2週間休職しました。


そんな状況にあっても、そのプロマネは長時間労働削減になんら策を打つことなく、「もっと設計ちゃんとやれや」「テストが足りない」「あんまし残業するなよ」と言うばかりで、クライアントのご機嫌取りに終止し、メンバーに頭を下げることは一度もありませんでした。よくみんなあの人の下で文句も言わずに働いていたな、と思うし、今でも怒りに震え、何か復讐してやりたいと感じるときがあります。


デスマーチ 第2版 ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか

デスマーチ 第2版 ソフトウエア開発プロジェクトはなぜ混乱するのか


あれから多くの人が会社を去りました。ある人は個人事業主として不動産関係の仕事を始め、ある人は法律関係の資格取得を目指して勉強しています。自分はITエンジニアとして幸せに働ける場所を探して日本を離れました。みんなそれぞれに大変なこともあるだろうけど、あのプロジェクトの中で疲弊した日々を送っていた時よりは、明らかに人生を楽しんでいます。


あなたのプロジェクトを辞め、多くの人が、ずっとずっと幸せになりましたよ。そういう事実を積み重ねていくことが、デスマーチに対する最良の復讐の手段なのだと思います。


情熱プログラマー ソフトウェア開発者の幸せな生き方

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こう意見すると、そうはいっても与えられた仕事なのだからまじめに働かなければとか、勝手に辞めるなんて責任感がないなどと言う人が出てくるでしょう。しかしそれは違います。雇用者と被雇用者の立場は本来対等なものです。雇用者からの命令に一切背かず働かなければいけないとすれば、それは奴隷です。命令があまりに過酷で、これでは幸せになれないと思うのなら、さっさと辞めてしまったほうがいい。そして自分がもっと幸せになれる道に進んだ方がいいのです。


冒頭のマンガになぞらえるならば、まじめに責任感をもって働き続けることは、いじめに我慢して中学校に通い続けることです。そのまま卒業できればいいですが、ストレスで勉強に身が入らなくなったり、最悪の場合いじめに耐え切れず自殺してしまうことだってあるでしょう。いじめられっ子の女の子は、「中学校に行かない」という選択肢を取れたからこそ、いじめっ子の手から逃げ、幸せに学生生活を送り、幸せにもなれたのです。


長時間労働は当たり前、これくらいで音を上げるのは甘え、なんて考えている頭の固い連中につきあう必要なんてありません。「あいつの下で働いた社員はなぜか辞める」という評判がたてば、マネージャー本人の責任問題にもなるでしょう。


まじめに働く人でも責任感がある人でもなく、不幸をもたらす魔の手から逃げ、ただ幸せを追い求める者が、最後に笑うのです。

ゆとりの法則 ? 誰も書かなかったプロジェクト管理の誤解

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