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ニュージーランド在住のプログラマがあれこれ書くブログ

意欲も能力もある人材を潰すのはもうやめてくれ

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インドネシアから来日して介護福祉士となった女性が、現場の厳しい現実に耐えきれず帰国を決めたというニュースが報じられた。

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アニメで憧れた日本で働けると希望を抱いて、彼女ははるばるこの国までやってきた。介護福祉士に合格するまでは、補助金や研修が受けられるなどサポートが手厚かったものの、いざ合格すると家賃補助も研修も無くなり、その割に給料は上がらず、長期休暇も取りづらい職場環境。最後は要求される日本語レベルのあまりの高さに疲れ果て、結局インドネシアに帰ることにしたそうだ。

この手のニュースを聞くと非常に寂しい気持ちになる。

言葉も文化もまったく違う国にわざわざ渡ってきて、専門職として働こうという高いモチベーション、そして実際に国家試験に合格するだけの能力を持ち合わせている優秀な人材を、なぜ現場は使い潰してしまうのだろうか。

これは外国人労働者に限った話ではない。最近では、ある保育園の劣悪な労働環境が告発されていた。

bylines.news.yahoo.co.jp

こちらの例でも、昔からずっと保育士に憧れていたという人材を、サービス残業が当たり前だったり休憩時間が十分に取れなかったりといった、違法な労働環境で酷使したあげく、退職に追い込んでいる。彼女たちは新卒採用なので、職場での教育や適切なフォローが必須なはずだが、そうしたケアはいっさいなかったという。昔から子供が大好きで、保育士になることが夢だったはずなのに、仕事のせいで健康を害してしまい、今では「保育士として働くのは怖い」のだそうだ。

自分の話で恐縮だが、筆者自身も、以前勤めていた会社で見事に使い潰された自覚がある。まったくのプログラミング未経験からシステム開発という仕事に興味を持って、システムエンジニアとして新卒で就職した。1年目の秋にソフトウェア開発技術者に合格したり、自前で出退勤管理システムを開発したりするくらいにはモチベーションと適性があったと自負しているが、連日連夜の長時間労働で過労死の危険を感じて職場を逃亡。紆余曲折を経て、いまはニュージーランドでプログラマをやっている。はっきり言って、また日本に帰ってIT企業に就職することには、強い不安と恐怖を感じる。

経営者や管理職の方々に心からお願いしたい。

どうか、意欲も能力も持ち合わせている人材を、簡単に使い潰すのはもうやめてほしい。

この仕事に就きたい、この業界で働きたい、そんな強い思いがあり、しかも実務能力だってある、そういう人にこそ、業界で長く働いてほしいはずだ。しかし実際には、そんな人材が激務に疲れ果て、その職業自体に愛想を尽かし、辞めていってしまうケースが多々起きている。これはあまりに理不尽ではないか。

おそらく、彼らは元々のモチベーションが高く、仕事への適性もあるだけに、必要以上の責任感を発揮して頑張りすぎてしまうのだろう。前掲のインドネシア介護士の記事では、「日本には"出る杭は打たれる"という文化がある」と言及されている。まさにその通りだ。よく働く人間ほど限界まで重りを載せられて沈んでいく。

労働基準法を遵守し、労働者に適切な報酬を支払い、ひとりの人間として尊重する。そんな当たり前のことがなぜできないのか。怒りを通りこして悲しさや悔しさを感じる。自分のように潰れる人間をこれ以上出さないでほしいと、強く願うばかりだ。

最後に、憧れていた業界で仕事を得たのに、今まさに苛烈な労働環境で潰れそうになっている方へ。あなたはもっと良い環境で働く権利がある。奴隷のように働いて、それ以上自分の人生を犠牲にする必要はない。ほんとうに潰れてしまう前に、一刻も早くその職場から逃げてほしい。残念ながら、自分の身の守り方を知っておかねばならないのもまた事実だから。