NZ MoyaSystem

ニュージーランド在住のプログラマがあれこれ書くブログ

NZでの試用期間満了! 上流エンジニアは死にました。

イチオシ記事▼

筆者は今年、2016年の2月9日から、ニュージーランドの企業にてプログラマとして勤務し始めました。ところが、90日間は試用期間というのがこちらのルール。その間は「こいつ使えねーな」と思われたらサッサと首切り、なんてこともありますので、半ばビクビクしながら過ごしておりました、笑 内定に浮かれてこんなエントリも書いてしまった手前、クビになったりしたらちょっと恥ずかしすぎますしね。

そしてこの度、無事90日間の試用期間を終え、晴れて正式採用の運びとなりました!

上司との面談とかアナウンスとかあるのかと思ってたんですが、先輩社員に聞いてみるとどうも何も無いみたいです、笑

いやあ、なんとか乗り切ることができてホッとしています。入社当初は果たして自分のスキルがこの会社で通用するのか不安で仕方ありませんでしたが、次第に仕事にも慣れ、プロダクトの構造も理解できるようになり、何より英語も最初に比べてかなり上達した実感があります。この調子で、もっともっと業務に貢献できるようにがんばっていきたいです。

さてタイトルの「上流エンジニアは死にました。」って何ぞ、ということですが。

話は2013年の3月に遡ります。

当時、筆者は日本の某この木なんの木系システムインテグレータにて、社畜システムエンジニアとして激務に従事する日々を送っていました。そのときは、もう自分はこの会社には一生いないぞ、海外の大学を卒業して現地でプログラマになるのだ、という腹はくくっていたものの、会社にはまだ退職の意向を伝えてはいませんでしたので、3月にリリースする案件の設計およびテストケース作成担当を任されていました。その案件は、プログラミングもテストも無事予定通りに完了、ユーザさんが実際に使う本番環境へのリリースも終わり、一見滞りなく終了したかのように見えました。

……が、そこからが地獄でした。

新しいシステムが本番環境に載った途端、システムエラーが頻発。

これではとても使い続けられないと、業務を止めざるを得ない状況に陥ってしまいました。

原因を調査したところ、設計段階での考慮漏れがいくつも見つかり、テストケースも全然足りていなかったことが発覚したのです。新人時代からずっと携わっているプロジェクトなのに、設計の仕事だって何度もやってきたのに、こんな状況になってしまったのがとてもショックで。結局、チームの皆さんと協力会社さんに頭を下げて、徹夜で再設計とコーディング、週末返上でテストをやり直して、修正版を納品。後日お客さんにも説明資料をもって謝罪に伺うことになりました。

そんな精神状態の中、やりきれない思いをぶつけて書いたのが、「上流エンジニアなんて死んじまえ」という、はてな匿名ダイアリーです。

anond.hatelabo.jp

そんなに長くありませんので、著者権限として全文引用します。

[居酒屋。サラリーマン風の男がグラスを片手にくだを巻いている。]

もうさ、システムエンジニアなんて免許制にしちまえよ。
こんな複雑で難しい仕事、ロクにソフトウェア工学も修めてないトーシロがやろうってのが間違いなのよ。いやおれも含めての話よ?

何か開発でポカやるじゃん。
ポカやったら、レビューが足りなかったとかさ、チェックが甘いとかさ、なるじゃん。
でもって、誰でもできるようにチェックリスト作ろうとか、手順書作ろうとかって話になるじゃんね。

違うんだよ。

例えばさ、医者の診察考えてみ?あれってチェックリストがあれば誰でもできるの?違うでしょ?
6年間も大学通ってさ、人のからだの仕組みを隅から隅まで全部勉強して、国家試験パスして、研修医として経験積んで、それでようやく診察できるようになるわけでしょ。

今のIT業界、それもほんとに能力ある人が集まらない、底辺のIT業界って、
医者が足りない、でも医学部の学生が全然足りないからって、
「未経験でも医者になれる!」とかわけわっかんない宣伝打って、
「まじでー医者とかカッケー憧れるしなんかおもしろそうだし」ってホイホイ集まってきた若者使ってさ、
3ヶ月くらい『家庭の医学』でも読ませただけで現場放り込んで、
医療ミス連発で死人出まくりみたいな、そんな状況じゃないの?

完全に推測でしゃべってるから間違ってたらごめんよ。
でもうちはそんな感じだわ。まじでね。

でさぁ、もっと腹立つのはさぁ、
この世界って元請けが下請けに対して立場強すぎるんだよ。
能力関係ないんだよ。
どっからどうみても下請けの方が技術力上なのにさ。
せっかく優秀なプログラマがいるのに、クソみたいな上流設計のせいでパフォーマンスの半分も引き出せてないわけよ。悲しくなってくるよ。

給料だって元請けの方が断然いいし。元請けってだけでだよ。わけわかんねぇよ。
自分たちだけで開発もできない、まして設計もろくにできない上流エンジニアなんてお笑いだよ。
なにが上流だよ偉そうにしやがって。死ねって思うね。今すぐ死ね。

え、おれ?そうだよ。えぇその通りですとも。死にましょうか今ここで。わはは。死んじまえ。みんなみんな、死んじまえ。

[男、グラスを机に叩きつけて割り、破片で喉をずばと掻き切る。ぴーっと音がして飛び散る血しぶき。]

http://anond.hatelabo.jp/20130309233920

初めてはてなに投稿したエントリだったのですが、これが400ブックマーク以上を集める結果になり、ひとりであわあわしていたのを思い出します。あらためて見返すと、元請けと下請けの対立構造、「死んじまえ」という刺激的なタイトルなど、炎上する要素は十分に含んでいますね……。

少々誇張した表現はあるにせよ、当時の自分は、いわゆる上流エンジニアとしての立場にほとほと嫌気が差していました。ほんとうはプログラミングがやりたいのに、今の立場から得られる安定したそこそこの給料が手放せない自分。お粗末な設計と無茶な納期で、技術力のあるプログラマさんに十分なパフォーマンスを発揮してもられない現状。自分の今やっている仕事に意味などあるのか。人々を幸せにするためのシステム開発が、関わった人をどんどん不幸にしているんじゃないのか。どこにも吐き出せなかった胸の中のよどみが、この30行程度の文章に詰まっています。集まったコメントの数が、同じようなよどみを抱える人の多さを表しているのでしょう。

あれから3年以上が経ちました。

自らに「死ね」とまで言っていたかつての上流エンジニアは、海外で働くプログラマとして生まれ変わりました。

今は残業も休日出勤も一切ない快適な職場環境の中、優秀な同僚たちに囲まれて、毎日たのしくプログラミングをしています。結局、自分には上流エンジニアとしての適性は無かったのだと思います。そのかわりプログラミングはそこそこできた。地球の裏側までやってきて、自分の適性を発揮できる職場に巡りあえたことは、実に幸運でした。

今後もこのブログを運営していくにあたって、以前の自分のような、日本の悩めるエンジニアに、何らかの形でお役に立てないか、ということを最近よく考えます。ブラックな印象の強いIT業界ですが、日本でも海外でも、ブラックな現場からは想像もつかないほど幸せに働いているエンジニアはたくさんいます。ほんとはみんなそうやって楽しく暮らせるはずなんです。どうすればひとりでも多くの人が、幸せなエンジニアライフを実現できるのか。これからはそんなことも視野に入れていきたいです。

そんなこんなで、無事試用期間を生き残りましたよ! というご報告でした。この先もお気楽にがんばります!