英語力の証明のためにTOEICを受験する方は多いです。学生にとっては就職時に有利に働きますし、社会人にとっても出世を目指す上では欠かせない資格となっています。
2014年度のTOEICテスト受験者数は過去最高の240万人に達したとのことです。TOEIC|プレスリリース|2015年度|2014年度 TOEICテスト受験者数は過去最高を更新 ものすごい数ですね。
TOEICのスコアは上がった。しかし……
しかし筆者の場合、スコア880点を記録したあたりで、TOEICを受験する意義がわからなくなってきました。というのも、それだけスコアを取っても自分の英語力に何ら自信を感じることができなかったからです。
当時筆者はSkypeを利用した英会話講座を受講していました。毎日出勤前の15分ずつ、フィリピンの先生と会話の練習をしていたのです。
これがもう、全然スムーズに喋れない。相手の言うことは理解できますが、いざ話そうとすると、簡単な単語や構文でも口から出てこない。レッスン内容の録音をあとから聞き返して、「なんじゃこりゃあ!」と凹むばかりの日々でした。
そんな中、勤めていた企業で安く受験できる機会があったので、力試しがてらTOEICを受験したのです。それが前述の結果でした。ちなみにTOEIC対策の勉強は一切していません。
TOEICのスコアの目安を確認すると( TOEICテスト|TOEICテストについて|スコアの目安 )、880点というスコアは企業の国際部門で求められるスコアを超えています。つまり、それだけあれば英語で仕事できるよ!と主催者は言ってるわけです。
筆者は思いました。
いや、んなわけないだろう、と……。
当時の自分の英語力で海外で仕事ができるとはとても思いませんでした。そして、もしTOEICのスコアだけで社員の英語力を判断しているとしたら相当アホなことやっとるなとも思いました。
TOEICで測れる能力は限定的
言語能力は、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングの4つのカテゴリに分けられます。TOEICが対象としているのはリーディングとリスニングのみです。実際の仕事では当然ライティングとスピーキング能力も求められますし、それらはリーディングやリスニングとは全く異なる能力です。
またTOEICで問われるのは、ビジネス上のちょっとした会話、近所のフェスティバルの広告、新聞の求人案内、電子メールといった、とても日常的な内容に限られており、学術論文のような高度でボリュームのある英文に向き合う力までは測れません。
結局TOEICで測れる英語力は極めて限定的なのです。
TOEICの勉強をしている限りは、その他の英語力はまったく伸びません。これってかなり恐ろしいことだと思います。
TOEICのための勉強してもしょうがない!
日本の書店にはTOEICの攻略本があふれています。あたかも、「英語の勉強」ではなく「TOEICのための勉強」が必要であるかのようです。
まったく本末転倒ではないでしょうか?英語の能力が上がるからTOEICの点も上がるのであって、TOEICの点だけ上げて英語力が伴わないのなら意味がありません。
英語を勉強し始めたばかりのときは、TOEICのスコアはよい目標になると思います。模試も簡単に受けられますし、点数が上がっていくのはそれだけで気持ちいいですしね。実際、基本的なリスニングの能力が身につくだけでスコアは驚くほど伸びます。
しかし、ある程度スコアが上がったらもうTOEICからは距離を置かなければだめだと思います。
TOEICでは測れない英語力はたくさんあります。友達に英語でジョークが言えますか?お世話になったホストファミリーに心のこもったお礼の手紙が書けますか?ナイトクラブで一目惚れした女性にお酒をおごってあげられますか?
ほんとうに必要なのは英語の勉強であって、TOEICの勉強ではありません。英語が上達すればTOEICのスコアも必ず上がります。TOEICのためだけの勉強している人は、今すぐ英語の勉強に切り替えましょう!実践力ゼロの状態でTOEIC満点とっても全然使い物になりませんよ!
……え?それでも人事や上司がTOEICの点ばかり要求してくるって?
うーん、そんな会社じゃグローバルな仕事無理ですから辞めましょう(真顔)。