ニュージーランドでポピュラーな就活方法に「ドアノッキング」と呼ばれるものがある。
これは直接会社の事務所を訪ね、担当者に履歴書を渡すというものだ。日本ではマナー違反とも取られかねないやり方だが、こちらでは非公開の求人にもアクセスできる上、応募者の熱意も伝わる方法として浸透している。
ドアノッキング。いいネーミングだな、と思う。
異国の地で仕事を得るというのは、まさに、世界に向かってノックを繰り返すことだ。
最初はドア越しに対応してくれる人ですら少ない。そりゃそうだ、東洋の島国からやってきた、どこの馬の骨ともしれない男が「仕事ください」と言ってきてるのだから。
しかしそれでもめげずにドアを叩き続けていると、そのうち、しょうがない話だけでも少し聞いてやるか、と思ってくれる人が出てくる。
またしばらくすると、ドアを開けてくれる人がちらほら現れて、そうなれば、ドアの中に入れてもらえるまではもう少しだ。
もちろんポジティブな反応ばかりではない。「あなたのスキルでは仕事は見つからない」とドア越しに断られることもある。「もっとほかに優秀な人がいたから」と告げられるのは日常茶飯事。
逆の立場になって考えれば、そりゃ外国人よりは地元の人間を雇ったほうがリスクは少ないだろうし、当然の成り行きだろう。
それでも僕はノックをやめない。
正しい方法で正しい期間、あきらめずに続けていれば、必ずドアの中に入ることができると、たくさんの先輩たちが証明してくれているから。
「今までのキャリアを捨てて一からやり直すつもりで未経験の職種に応募したら、あっさり採用された」
「資金がショート寸前で気持ちが沈みきってしまい、気分転換に旅行に出た直後に内定が出た」
「壁一面が埋まるほどお祈りメールを受け取り続けた後で、拍子抜けするほどあっけなく仕事が決まった」
ニュージーランドではそんな話をいくらでも聞くことができる。全てはタイミングの問題。しかしそれには、ある程度世界のドアを叩き続けたことが前提条件としてつく。
漫然と扉の前に立っていても、永遠に開かれることはないのだ。
今週はどこかで面接を受けることができそうだ。別の会社の選考もまだ残っている。複数の会社の選考が並行して動いている状況は初めてだ。3ヶ月以上ドアを叩き続けて、ようやく何かが回り始めたのかもしれない。
一日も早く、叩き続けたニュージーランドのドアが開かれて、その中に入ることが許される日を迎えたい。もちろんその暁には、このブログで報告させていただきます。
はっしー