インタビュー

【ニュージーランド転職インタビュー】未経験からITエンジニアへの挑戦!

ニュージーランドに移住する方法のひとつとして、技能移民(Skilled Migrant Category) としてワークビザを獲得し、永住権に切り替えるというやり方があります。
中でも需要が高く、ほぼ確実にビザが降りるのがIT系の仕事。
ニュージーランドは日本に比べてワークライフバランスが確保されていることもあり、人気のある業界です。

中には、ITエンジニアになれば永住権に有利だからという理由でまったくの業界未経験からIT業界を目指す人もいます。
そして、現実としてキャリアチェンジ組の多くは失敗に終わっていることは以前日本人エンジニアの方へのインタビューでもお伝えしました。

ITエンジニアのニュージーランド移住は現実的、でも簡単ではない!移住希望者に知ってほしい現実僕はこのブログを通じて、特にIT業界で働く皆さんに、ニュージーランド移住という選択肢の魅力と、その現実性についてお伝えしてきました。 ...

しかし、未経験からIT業界への転職を成功させている人も少ないながらいるわけです。
そういった方の経験を聞けば、何がいったいそんなに難しいのか、乗り越えるべきポイントはどこなのか、より具体的に見えてくるのではないか?

……ということで、オークランド在住のエンジニアで、業界未経験からの転職を経験した、ももかさん(仮名)にインタビューをさせていただきました!

仕事を得るまでにどんな準備が必要だったか、リアルな就活の体験談など、詳細に語っていただけました。ニュージーランドのIT業界や、ニュージーランド移住に関心のある方には役に立つ内容になっているはずです。

それではどうぞ!

Contents

テストの専門家として活躍中

はっしー
はっしー
ももかさん、今日はインタビューにご協力いただきありがとうございます! 簡単に自己紹介をお願いします。
ももか
ももか
はじめまして。2年弱のイギリス暮らしを経て、ニュージーランドには2004年から住んでいます。現在はコントラクター(※)という雇用形態で、テストアナリストとして働いています。それまでIT業界は未経験で、ITの仕事は2014年から始めました。

※コントラクター(Contractor) ……数週間〜数ヶ月など、期間を定めて契約を結ぶ雇用形態。パーマネント(Permanent)と呼ばれる正社員とは区別される。

はっしー
はっしー
「テストアナリスト」というと日本ではあまりなじみのない職種だと思いますが、具体的にはどのようなお仕事なんでしょうか。
ももか
ももか
基本的にはシステムのテストを専門に行なっています。現在働いているのは保険会社なので、テスト以外にも、要求仕様の確認などでビジネスチームや開発チーム、外注先とやりとりをする作業もかなり多いです。
はっしー
はっしー
テストを専門にやる職種は日本では珍しいですね。日本ではテスターというと新人の仕事という位置づけだったり、ヘタすると開発したプログラマがテストも自分でやっちゃう場合が多いかもしれません……。

ニュージーランドで2度のリストラ! 未経験からITに挑戦することを決意

はっしー
はっしー
今回は、「未経験の状態からニュージーランドのIT業界に就職する」というキャリアについていろいろお話をうかがえればと思います。ももかさんは、以前はどのようなお仕事をされていたんですか?
ももか
ももか
日本ではごくごく普通にOLをしていました。

その後イギリスではコールセンター業務、ニュージーランドでは、語学学校の事務手続きと日本人カウンセラーの仕事、そのあとはライセンスを扱う会社3社で働きました。

特にキャリアの方向性があったわけではなく、その時に見つかった仕事をしていた感じです。

はっしー
はっしー
いろいろな職種を経験してこられたんですね! では今のテストアナリストのお仕事も、特に狙っていたわけではなく、たまたま見つかったという感じなのでしょうか?
ももか
ももか
いえ、テストアナリストは狙いを絞って就職活動をしました。というのはですね、実はニュージーランドに来て、2度もリストラにあったんです。
はっしー
はっしー
えっ、2回もですか!?
ももか
ももか
日本でリストラっていうとなんだか悲壮感漂いますが、NZでは割とよく起こります。
本人の能力の問題というよりも、マネジメント上の流れで起こることが多いです。

1度目は会社が請け負っていた契約を失い、会社としての仕事自体がなくなったので順番に解雇されていき最終的には会社も閉鎖。

2度目は大きな組織変更に伴うもので、これは予想しておらず、けっこうショックでした。

はっしー
はっしー
(自分だったら心が折れて引きこもりになりそうだな……。)
ももか
ももか
2度目のリストラのときに、今後どういう職業につけば ”employable” すなわち、雇用の可能性があるだろうか、自分がやってみたいことはなんだろうかとすごく考えました。

テストの仕事につく前は、日本語ができることが有利となる仕事をしていましたが、そういう求人には限りがあります。また事務の仕事は競争率も激しく、ネイティブスピーカーのほうが有利です。いろいろ考えた結果、テストアナリストの経験のある主人のアドバイスもあり、ソフトウェアテストの仕事をやってみることに決めました。

学校へは通わず、独学でテストアナリストの資格を取得

はっしー
はっしー
なるほど、ご自分の興味と、ご主人の勧めもあってITの仕事に挑戦することにしたんですね。
ももか
ももか
そうなんです。ずっとテストの話は聞いていたものの、ITなんて絶対難しいだろうと思って尻込みしていました。やってみようとは決めたものの、就職にたどりつくまでが難しかったので、現在も働き続けることができて良かったなと思っています。
はっしー
はっしー
ニュージーランドのIT業界に就職するには、IT系の専門学校や大学を卒業するのがほぼ必須と言われていますが、ももかさんはそういった学校にも通っていなかったんですか?
ももか
ももか
全く通っていません。
通うことも検討しましたが、自分に知識を蓄えるという意味ではいいかもしれませんが、就職に結びつけるためにはそんなに役にたたないというアドバイスをもらったからやめました。

代わりに、独学でソフトウェアテスティングの概要を学ぶために、ISTQB Foundation Exam (※)について勉強をして、資格をとりました。

はっしー
はっしー
独学で……! それはすごい。
NZではすべてのIT技術者は専門職ですから、ほんとうに資格も学歴もないまったくの素人では相手にしてもらえないですもんね。

※ ISTQB… International Software Testing Qualifications Board. 国際的なテスト技術者の認定組織 (公式サイト)。日本で活動する所属組織にはJSTQB、ニュージーランドおよびオーストラリアにはANZTBがある。

未経験ではとにかく仕事が見つからない! 「コネクション」と「売り込み」が最後の決め手に

はっしー
はっしー
テストアナリストとしての仕事を最初に手に入れる際、もっとも苦労した部分はどこでしたか? また、最終的に就活を成功させる決め手になったのは何だと思われますか?
ももか
ももか
大変だったのは、未経験者の求人がないことです。

経験なしでテストアナリストになる方法としては、会社の別の部署にいてビジネス知識やシステムについて理解がある人が転向していく場合や、大手のテストコンサルタント会社のグラジュエイト・プログラム(※)に採用されるなどがあります。
でも、いずれも狭き門です。
求人情報サイト経由での応募ももちろんやりましたがほぼ全滅だったように思います。

最終的に仕事が見つかったのは、紹介してもらえるコネクションがあったから、自分を売り込んで熱意を買ってもらうことができたからでしょうか。

※ グラジュエイト・プログラム… 大学や専門学校を卒業したての学生を対象とした採用方式。

はっしー
はっしー
「コネクション」と「売り込み」は、ニュージーランドで仕事を探す際に大事だとよく言われますね! 最終的にそこに話が帰結してきたのは興味深いです。

ちなみにそのお仕事はどのような方からの紹介だったんでしょうか?

ももか
ももか
主人がソフトウェアテスティングをしていたので、彼の知り合いに連絡を取ってもらいました。その中でも話が進んだ方に、自分からアポを取って会ってもらうお願いをしました。
はっしー
はっしー
ご主人の紹介は心強いですね。具体的にはどのようにご自身をアピールされましたか?
ももか
ももか
勉強をしてISTQBの資格を取った、テストの仕事がどうしてもやりたいから雇ってくれと直談判したところ、コンサルタント会社の社長に気に入ってもらえたんです。
その会社はちょうどキャリア変更組を何人か雇っている
ところで、無事に初めてのテストアナリストという仕事にたどり着くことができました。
はっしー
はっしー
なるほど……熱意があって実際に資格取得という行動ができていること、その熱意をきちんとアピールできていること、さらにキャリア変更組の人材を採用しているというタイミングが合わさって、仕事にたどり着いたと言えそうですね。

貴重なお話をありがとうございました!

未経験からニュージーランドのIT業界を目指す人へのアドバイス

ももかさんの体験談をお聞きして、ニュージーランドで就職するために必要な3つの要素が、あらためて浮き彫りになってきたように感じました。
すなわち次の3つです。

  • 熱意をアピールできる英語力
  • 資格・学歴・職歴など、熱意を形にする力
  • 自分に合ったポジションに出会うための人脈と運

これらすべてがそろった状態で海外移住に挑戦できる人などほとんどいません。
皆何かしらの形で、限られた時間の中で足りない部分を伸ばしていかざるを得ないんですね。

ゼロからでもなんとかなるかな〜と楽観的に考えている人は、この3要素を頭においた上でもう一度ももかさんのインタビューを読み返して、自分の今の立場と比べてみてください。
何が足りていて何が不足しているのか、それが今後の行動の指針となるはずです。

最後に、ももかさんに未経験からニュージーランドのIT業界を目指す人へアドバイスをいただきましたので、そちらをご紹介します。ももかさん、ご協力ありがとうございました!


私は英語圏で暮らし始めて15年です。海外での留学経験等はないまま、イギリスに引っ越したので、最初のころは英語でのコミュニケーションに自信がなくて苦労しました。

今でこそ日本人の友人もいますが、はじめの頃はほとんど英語を話す人ばかりの中で暮らして、英語環境の中で意思疎通をして仕事を進めていく事ができるという土台をだんだんと作っていきました。そのうえでのIT業界へのキャリアチェンジという部分で本当に苦労をして、現在も進行形で現場で知識を吸収しつつ、なんとか踏ん張りながら頑張っています。

NZに来てすべてを新しく始めるのは非常に難しいと思うので、まず日本でITの仕事の経験を積んだほうがよいかもしれません。

ビジネスレベルの英語力は必須

英語力は必須です。読み書きができ、会話が成立するレベルではなくて、ミーティングに参加して大勢の人の話し合いを理解できて、そのうえで自分の意見を述べるところまで必要になってくると思います。

現在NZのIT業界はアジャイルが流行っているので、さらにチームメンバーとのコミュニケーションが重要になっていくと思います。レトロスペクティブやスプリントプランミーティングで意見を述べる必要がある機会も増えます。

コミュニケーション能力を身に着けよう

2度目のリストラ後に、1年間思いきって働かないという選択をし、国籍や年齢の異なるいろいろな人と知り合って話をするようにしたり、子どもの学校のボランティア活動に積極的に参加して、社交性を磨いたりしたのが、今はすごく役に立っています。

ニュージーランド、特にオークランドは多国籍なので働きかたも人によって様々です。日本とは異なる社風や異文化に柔軟に対応していけることも必要だと思います。

おわりに

move out of your comfort zone をいつも念頭に。自分の心地よい枠をちょっと超えて挑戦し続けると、今後も成長し続けることができるんじゃないかなと思っています。

ABOUT ME
はっしー
ニュージーランド在住の元プログラマ。 日本のIT企業で月100時間超えの残業を経験して過労死しかけたことをきっかけに国外脱出、毎日定時帰りの生活と年収アップを実現させる。脱社畜、英語、海外移住などをテーマに情報発信中。Twitterフォロワーは1万8千人以上。ニュージーランド永住権ホルダー。

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