こんにちは、はっしー(@hassy_nz)です。
最近のインターネットでは「オンラインサロン」が大きなブームになっています。
オンラインサロンとは有料のファンクラブや部活動のようなもので、はあちゅうさんやイケダハヤトさんなどのトップブロガーから、堀江貴文さんや西野亮廣さんを始めとするテレビでも活躍する有名人まで、多くの方が独自のサロンを運営されています。
かくいう僕も、半年ほどオンラインサロンを運営していました。
僕は決して有名人などではなく、ただのサラリーマンプログラマです。
ところがサロンを開いたところ、延べ約70名もの方々にご参加いただけました。
サロンに入ってくださった皆さん、ほんとうにありがとうございました!
あらためて感謝申し上げます。
しかし結果的には、当初描いていたサロンの理想を実現することはできず、7ヶ月目で閉会という決断を取りました。
息の長い運営ができなかったことは、メンバーの皆さんに対して申し訳なく思っています。
この記事では、
- 運営していたサロンの概要
- なぜ閉会してしまったのか?
- これからサロンを開きたい人へのアドバイス
について、僕の経験から詳しくお伝えしていきます。
特に、サラリーマンでオンラインサロン開設に興味のある人にとっては有益な情報になっていると思いますよ!
Contents
どんなオンラインサロンを運営していたのか?
僕が運営していたのは「プログラミング自習室」という名前のオンラインサロンです。

開設のお知らせを出したのは2018年の9月のこと。
当時はまだブロガーのオンラインサロンが一般的になる前であり、特にプログラミングに特化したサロンとしてはかなり先駆けだったと認識しています。
【オンラインサロン「プログラミング自習室」を作りました!】
「プライベートで勉強できてないプログラマの方」
「プログラミングを独学している初心者の方」
そんな人のためのサロンです。
初月は「無料」なのでお気軽にどうぞ!
▼詳細はブログで▼https://t.co/5l8wZdGjRW— はっしー@海外プログラマ🇳🇿元社畜 (@hassy_nz) September 16, 2018
サロンのテーマは、名前のとおり「プログラミングの自学自習を応援するコミュニティ」でした。
こちらから積極的にプログラミングを教えることはしません。
入会案内にも、入るだけでプログラマになれるサロンではないと明記しています。
そのかわり、メンバーが毎日の学習内容を報告することで刺激しあえる、自学自習を継続できる場を目指しました。
また、僕をはじめ現役のプログラマにいつでも質問できる環境を用意し、特にプログラミング初学者の人たちが挫折しないような仕組みを作りました。
これは、僕が入会しているオンラインサロン「伸びシロサロン」をモデルにしています。
「伸びシロサロン」は、ブロガー兼プロゲーマーのCaptain Jackさん(@CaptainJacksan)が運営する、ブログをテーマにしたオンラインサロンです。
ブログを教えるのではなく、ブログを通じて交流することにより、ブログを書き続けられる環境を用意するというコンセプトでして、ほぼ丸パクリさせていただきました汗
当時、僕自身もプログラマとして伸び悩みを感じていました。
自分のプログラミング学習を継続するためにも、オンラインサロンは有効だと考えたんですよね。
プログラマが実務でよく使うチャットツールである「Slack」を利用してのコミュニケーションと、月1回のオンライン勉強会をメインコンテンツとして、「プログラミング自習室」は始まりました。
【結果】7ヶ月でサロンを閉鎖。思ったように続けられなかった
そんな経緯で始めたオンラインサロンですが、残念ながら開始から7ヶ月で閉鎖という結果になってしまいました。
決してメンバーが集まらなかったわけではありません。
入会募集を始めた瞬間に応募が殺到し、3日で50名を超える方に参加していただけました。
「これ以上増えると管理しきれない!」と判断し、新規入会を一旦打ち切ったほどです。
その後もメンバーは50人〜60人の間で推移していました。
会費は一般1800円、学生1000円をいただいており、毎月7〜8万円程度の収入源になっていたので、ビジネスとしても失敗したとは思っていません。
ではなぜ閉鎖に至ってしまったのか。
ひとことで言うと、オーナー自身が疲れきってしまったからです。
集まってくれたメンバーの皆さんにはほんとうに申し訳ないのですが、これが正直なところであります……
いったいどういうことなのか、もう少し細かくお話していきますね。
理由1: サロンの目的を達成させるためのソリューションが見つけられなかった
「プログラミング自習室」の目的は、サロンメンバーの自学自習習慣を継続させることでした。
しかし結果として、目的に対するソリューションをきちんと提供できなかったです。
ブログをテーマにした「伸びシロサロン」では、
ブログ初心者が記事を書く
→サロン内で報告する
→みんなが読んで感想をくれる
→楽しいから記事を書き続けられる
→アクセスが増えてブログを継続できる
というサイクルを作り、ブログを書く上でもっともしんどい書き始めのフェーズを脱出できるようにしてるんですね。
同じことがプログラミングでもできるんじゃないかと考えました。
プログラミング初心者が学習内容を投稿する
→みんなから反応やアドバイスがもらえる
→楽しいから学習が続き、スキルが高まる
→アプリを作ったり転職できたりできるようになる
こんなサイクルができれば、きっと楽しくプログラミング学習が続けられるんではないかと。
ですが、残念ながらその目論見は正しくありませんでした。
プログラミングの場合、学習内容に反応するだけでもハードルが高いんですよね。
ブログの記事なら「書きました! 読んでください!」と投稿すればいくらでも感想書けます。
でも「Ruby on Rails勉強しました!」って投稿だけじゃ、せいぜいイイねを押すくらいしかできません。
参加者同士がコメントで交流しあう流れにはなかなかなりませんでした。
不安を裏付けるかのように、学習内容を投稿する人はごく一部にとどまってしまう傾向がありました。
継続的に投稿してくれた方は10人程度だったんじゃないでしょうか。
アクティブなメンバーを増やしてサロンを活性化させるのはオーナーの役割です。
ですが、最後までその解決策を見つけられませんでした。
理由2: 常に50人の視線を感じながら生活するのが心理的負担になった
「50人から毎月それなりのお金をいただいてコミュニティを運営する」のが、めちゃめちゃプレッシャーになっていました。
月2000円以下という値段は、当時のオンラインサロン界隈においてはかなり安い価格帯でした。
(2019年現在は月1000円以下のサロンも増えていますが)
それでもちょっといいランチが食べられるくらいのお金には違いありません。
いただいているお金に見合う価値をメンバーみんなに提供しなくちゃいけない!と考えれば考えるほど、プレッシャーが大きくなっていったんです。
今思えば、50人メンバーがいても本当にアクティブな方は15人くらいなので、その方たちだけに向けてコンテンツをしっかり作り込む、という考え方をしていればもう少し続けられたかもしれません。
しかし当時の僕にとっては、50人の視線が常に自分に向けられているも同然だったんですよね。
月1万円とかの高額な会費を取ってオンラインサロンを運営している人たちは、ほんとにすごいなと思います。
理由3: プログラミング以外のことに割ける時間がなくなってしまった
僕はもともと、いろんなことに同時に興味をもつタイプです。
本業ではプログラミングを仕事にしていますが、副業ではライター業をやってます。
趣味の時間には映画鑑賞や中国語の学習をするのも好きですし。
特に映画鑑賞は特化ブログを運営するほどで、そこそこの収益化もできるようになっています。
関連▶映画ブログ「モヤシネマ」
ところが、オンラインサロンの開設とともに、生活がプログラミング一色になってしまいました。
これがかなりしんどかったんですよね。
寝ても覚めても、頭の中はプログラミングばかり。
次に自分は何を勉強しようか、メンバーから要望のあった教材も作らなきゃ、次回の勉強会の準備をしないと、などなどなど……
プログラミング以外のことを考える時間がなく、毎日気が休まらなかったんです。
自分はいろんなことを同時に勉強するのが好きであり、一点突破していくタイプではない。
それを事前に理解していなかったがために、自分の適性と異なる方法でのサロン運営になってしまったのがマズかったです。
これからオンラインサロンを始める人へのアドバイス

オンラインサロンは、ビジネスとして非常にオススメです。
お金を払っていただいているメンバーと常に向き合わなければいけないので、会費に見合う価値を提供しなければと一生懸命になる。
その姿勢は必ずメンバーに伝わって顧客満足につながりますし、自身のスキルも大きく伸びる。
さらに月額課金制ですから、安定した収入源としても優秀です。
ただし事前に戦略を考えておかないと、オンラインサロンの運営はめちゃくちゃ大変になります。
実際、僕は戦略が不足していたことによりどんどん疲弊し、サロンを閉会せざるを得なくなりました。
その失敗の経験から、これからオンラインサロンを開こうかなと思っている方にアドバイスをいくつかお伝えします。
その1: まずは期間限定でやってみよう
サロンをずーっと続ける前提で始めると、メンバーの満足度を損ねるリスクが高いです。
どれだけ事前に戦略を考えておいても、実際にサロンを始めてみると課題が大量に見えてきます。
サロンビジネスに多くの時間を割けるのでない限りは、サロンを運営しながら課題を解決していくのって相当大変です。
サロン運営の原案ができた時点で、期間限定・会員数限定でトライアルをやってみたほうがよいでしょう。
開催期間が終わったら参加者からフィードバックをいただき、改善した上でまたサロンを始めるか、撤退するか決めればいいと思います。
また期間限定で始めるメリットはもうひとつあります。
それは、みんなハッピーなままサロンを閉めることができるってこと。
ほんとね、サロンを閉会するってつらいんですよ……。
オーナーも断腸の思いですし、信頼して申し込んでくれたメンバーの皆さんにも当然悲しい思いをさせることになります。
それなら最初から期間限定でやって、短期間をみんなで全力で駆け抜けたほうが楽しいんじゃないかな?と思います。
「○○サロン第1期生!」みたいな、メンバー同士の同期のつながりもできそうですしね。
その2: ふだんの自分の生活がコンテンツになるか考えよう
オンラインサロンのような月額課金型商品では、安定したコンテンツの供給が非常に大事です。
たとえば毎日コラムが更新されるとか、第一線で活躍する人の発言が読めるとか。
僕の場合は、自分が毎日どんなことを勉強したか投稿することがコンテンツになるのではないかと考えていました。
しかし、毎日プログラミングを勉強すること自体が「がんばらないとできないこと」だったんですね。
歯磨きやお風呂のような、生活習慣の一部ではなかった。
だから次第に疲弊してしまったわけです。
これが、誰に言われなくても毎日1時間はプログラミングを勉強していたり、普段から毎月勉強会を主催しているとかだったら、苦にならず続けられたんじゃないかと思っています。
いつもの生活がそのままコンテンツとして吐き出せるような状況が理想ですね。
更新のために自分が毎日がんばらないといけない状況だと、特にサラリーマンが副業でやる場合は疲弊しちゃうと思いますよ。
その3: 困ったときに相談できるアドバイザーを探そう
サロンオーナーは、その立場上どうしても孤独になりがちです。
悩みがあってもオーナーとしてメンバーに弱いところを見せるわけにはいかないですし。
でも全部自分で抱え込むことになると、最後は潰れてしまいますよ。
サロンを立ち上げる前に、相談できるアドバイザー役の人を確保しておくとよいでしょう。
無料枠でサロンに入ってもらうとか、月額でアドバイザー費を払うとか、形式はなんでもよいかと思います。
僕も途中から、同じニュージーランドで活躍する先輩プログラマの方にアドバイザーとして参画していただいたおかげで、運営が気持ち的にかなり楽になりましたからね。
でも相談するのが下手くそだったので、結局ぽしゃってしまいましたが……
相談できる相手を見つけること、悩んだらすぐ相談すること。
このふたつを忘れないようにしてください。
その4: 日本との時差に気をつけよう
これは海外在住の方向けのアドバイスです。
僕の住んでいるニュージーランドは、日本との時差は最大4時間になります。
この時差が思ったよりもやっかいなのです。
Slackでの発言がもっとも活発になるのは、日本時間の19時〜24時ごろ。
つまりニュージーランドでの夜11時〜朝4時なんですね。
この時間は当然寝ていますから、メンバーの投稿にすぐ反応できません。
それがずーっと心苦しかったです。
オンライン勉強会の時間も、日本に住んでいるメンバーに合わせようとすると、ニュージーランド時間の23時スタートとかになってしまいます。
運営中はあまり自覚していませんでしたが、夜遅い時間に気を張ってイベント主催をすることがストレスになったであろうことは否定できません。
4時間程度の時差でも大変なのに、これが8時間とか12時間になったら余計大変でしょう。
フリーランスなど時間に融通のきく働き方をしていない限りは、海外からオンラインサロンを開くのはキツイんじゃないかと思います。
それでも、サロンを運営してみてよかった

全体を通して大変なことが多かったのも、思ったように運営ができなかったのも事実。
それでも僕は、オンラインサロンを開いてみてよかったと感じています。
まず、50人もの人数を抱えるコミュニティを運営すること自体、人生で初めての経験でした。
どうすればみんなに満足してもらえるのか、アンケートを取って直接声を聞いてみたり、ときには会員の方に直接DMしてみたり。
結果的にはあまりうまくいきませんでしたが、貴重な経験になったのは確かです。
そして、普段僕のブログを読んだりTwitterを見たりしてくれている方と直接交流ができたのもすごくうれしかったです。
僕はいつも外に出るタイプではないので、正直あんまり友達がいません笑
日本から遠く離れたニュージーランドに住んでいることもあり、寂しさを覚えることも多かったんですね。
ですがサロンを開いてみて、皆さんと直接お話したり、オンラインミーティングで顔を合わせたり、一時帰国でオフ会を開いたりする中で、「自分はこれだけ多くの人とつながれていたのか……!」と、感動してしまいました。
元サロンメンバーの中には、唯一無二のトイレエンジニア(!)として着実にキャリアを積み上げている方や、自身のオンラインサロンを開いて起業されている方など、おもしろい方がたくさんいらっしゃいました。
思い切ってサロンを開いてみなければ、こうしたつながりも生まれなかったわけで、その意味でも挑戦してみてよかったです。
オンラインサロンを運営するのは、とっても大変です。
会員数の増減に一喜一憂することもあるでしょう。
ときにはメンバーの方からお叱りを受けることもあるでしょう。
オーナーとしてのプレッシャーに潰されそうになる日もあるでしょう。
でも、個人がすぐに始められるビジネスとしてここまで学びの多い仕事はなかなかありません。
興味のある方は、しっかりとした準備と少しの勇気を持って始めてみたらいいんじゃないかと思います。
この記事が少しでも参考になれば幸いです!