仕事・働き方

「くだらない理由で会社休むな問題」を整理して解決策を示そう

1月27日にマイナビウーマンに掲載された、意味わかんない!「社会人としてありえない」有休取得の理由7つ!という記事が軽く炎上しています。(2017年1月31日追記: 現在、記事は削除されお詫びが掲載されている)

本文を要約すると、

 

  • 寝坊したから
  • 二日酔いがひどいから
  • やる気がでないから
  • 彼氏に振られたから
  • 体が痛いから
  • 天気が悪いから

 

こんな理由で当日いきなり休むなんて社会人としてありえない! 有休は常識をもって使おう!!

といった内容です。(なおタイトルに「理由7つ」とあるのに記事には6つしか挙げられてません……。)

この手の「くだらない理由で会社休むな問題」は定期的に上がってきて燃えている印象があります。今回も例に漏れず非難の嵐が起きており、はてなブックマークやTwitterを見ても、

  • 有給休暇は労働者の権利だろ! 好きなときに取ればいいんだ!
  • 有休を取るのに理由はいらない! 労働基準法も知らないのか?

といった怒りのコメントが数多く寄せられています。

脱社畜の働き方』などの著作で知られる、ワーク系ブログの第一人者・日野瑛太郎さんも呆れ顔です。

 

でも、記事の内容をよく読んでみると、会社側に同情したくなる人も多いんじゃないでしょうか。

もし自分の部下が当日「やる気ないんで休みます」って電話してきたら、「お前ふざけてんのか!」って思いません? 有給休暇を行使する権利と、行使された側がどう感じるか、きもちよく仕事できるかはまた別の話です。

「くだらない理由で会社休むな問題」は、3つの問題を同時に議論しているのでややこしくなってしまうんですよ。今回はそれらを分解して考えた上で、解決策を示そうと思います。

I somehow managed to oversleep by three hours. Good thing I'm on #holiday!

Contents

1. 「くだらない理由で会社休むな問題」に含まれる3つの問題

3つの問題とはすなわち、

  1. くだらない理由で会社を休むのは是か非か
  2. 会社を休むのにくだらない理由を伝えるのは是か非か
  3. 病気でもないのに当日突発的に会社を休むのは是か非か

です。ひとつずつ順番に片付けていきましょう。

1-1. くだらない理由で会社を休むのは是か非か

会社を休む理由はいくらくだらない理由だろうがまったく構いません。寝坊だろうが二日酔いだろうが権利を行使することはできます。多くの方が指摘しているとおり、有給取得のために会社側に理由を伝える必要はありません。

炎上したマイナビの記事は、「会社側が有給取得の理由をつかんでいる」こと自体がそもそも変ですね。

1-2. 会社を休むのにくだらない理由を伝えるのは是か非か

冒頭でも述べたとおり、くだらない理由で休む場合、理由をそのまま伝える人はアホです。寝坊した、二日酔いだ、なんとなく会社に行きたくない、理由はいろいろあるでしょうが、どれもバカ正直に伝えたら確実に信頼を失います。

「体調不良で休みます」と無難に伝えておくべきところでしょう。ここは会社側の肩を持たざるをえません。

1-3. 病気でもないのに当日突発的に会社を休むのは是か非か

さて問題なのは、事前申請なしに突然会社を休んでいいのかってことです。先のマイナビの記事に挙げられている例はすべてこのケースですね。

「病気じゃないけど仕事に行けない」ってことは普通に起こりえます。

たとえば、マイナビの記事では「彼氏に振られた」くらいで会社を休むなと書かれていましたが、学生時代からつきあい続けて、結婚を意識していた相手に突然振られたとしたらどうでしょうか? とても仕事できないくらいの心の傷を負ってもまったくおかしくありません。

ほかにも、ペットが死んだ、つい普段飲まない酒を飲んでしまった、よくわかんないけどとにかく会社に行きたくない! など、何かしらの理由で働けない状態ならば休むのも仕方ないと思います。無理して来ても何もできないでしょうしね。

一方で、「朝起きたら突然旅行に行きたくなった」とかの理由で会社を休むのはどうでしょう? さすがにこれはアウトだと思う人が多いと思います(と信じたい)。

休息やレジャーのための有給休暇は、事前申請が原則です。ここがまた問題をややこしくしているポイントなので、次章で詳しく説明します。

2. 有給休暇は事前申請が原則です

労働者に有休を取る権利があるように、企業にも時季変更権というのがあります。労働者が「この日に有給取りたいよ!」と申請してきたとき、業務上どうしてもその日に休まれては困る場合に、「その日はダメだけどこっちの日ならいいよ」と、有給を取得する日程を変えられる権利です。

この時季変更権のために、多くの会社で有給休暇は事前申請が必要となっているのです。そうでないとビジネスに支障が出てしまいますからね。原則としては、申請をそのまま受け入れなければならないことになっていますが、最大限経営努力をしてもどーしてもムリ、ごめん! という場合は有給取得の時期変更が認められているのです。

病気でもないのに、当日いきなり有休を使うのは、会社の時季変更権を無視していると言えます。会社の権利を尊重せずに「今日休みたいから休むわ」って、いくらなんでも勝手すぎるでしょう。そんなに横柄にふるまってしまっては、労働者の権利を認めないブラック企業と、やってることが一緒になっちゃいますよ?

会社と労働者は対等の関係なんだから、お互いの権利はきちんと認め合いましょう。その上で、気持ちよく有給休暇を使えばいいじゃないですか。

3. 「病気休暇」を導入すればすべて解決

有給取得に事前申請が必要という原則を持ち出すと、「じゃあ当日朝に二日酔いだったりやる気が出なかったりしたらどうするの? 事前申請できないじゃん!」という問題が持ち上がります。そうですね。突発的な事態は想定できません。

これは日本に病気休暇が無いことが原因です。

病気休暇は、年次有給休暇とは別に与えられる休暇で、その名の通り、突発的な体調不良のときに使うことができます。欧米の企業ではごく普通の制度です。僕の働いているニュージーランドの会社でも、年間で5日の病気休暇がもらえます。

本来、計画的な休暇には年次有給休暇を使い、突発的な休業には病気休暇を当てるもの。それが日本ではごっちゃになっているからおかしくなるんです。病気だろうがそうでなかろうが、当日休みたかったら病気休暇を使う、とすれば、スッキリまるくおさまります。

ぶっちゃけ、ニュージーランドでも、病気じゃないのに病気休暇使ってる人それなりにいると思いますよ。でも「病気休暇を取ります」と言えば、上司も「あぁ病気なんだな」と考えてくれます。それ以上は詮索しません。詳しく症状を聞かれることもないし(もし聞いてきたらプライバシーの侵害ですね)。仮病で乱発すると、いざホントに病気になったとき、有給取れずに欠勤扱いになるハメになって自分が損するだけですから、そこは自己責任でやればよいかと思います。

ということで、「くだらない理由で会社休むな問題」に対する答えをまとめると、こうなります。

  • 会社を休む理由はなんだっていい! 休暇取得は労働者の権利!
  • くだらない理由を正直に伝える人はアホ。そこは「体調不良」って言っとけ。
  • 当日の突発的な休業のために、病気休暇を導入しよう!

以上! 解決!!

おわりに ー炎上は労働者の権利意識向上の証左ー

僕は基本的に脱社畜推進派です。残業は絶対やりたくないし、有給休暇は毎年全部使い切りたい。そのためにわざわざ日本からニュージーランドまでやってきたんです。同じような生活が日本でも普通のことになってほしい。このブログを更新し続けているモチベーションのひとつはそこにあります。

今回の炎上では、反社畜な僕でさえ「おいおいちょっと落ち着け」と言いたくなるくらい、労働者の権利意識にあふれるコメントが多かった。きっと喜ぶべきことなのだと思います。一昔前なら、有給休暇に理由の申告は必要ないって知らない人が大半だったでしょうし、病気以外で有給使うなんてとんでもない、という価値観の人も多かったかもしれません。揺り戻しが必要なほど権利意識が根付いたのは素晴らしいことです。

会社と労働者は対等な立場ですからね。どちらが上でも下でもない。僕たちサラリーマンは、きっちり権利を主張しながら、しっかり仕事をこなしましょう。有給休暇取得は労働者の権利、そのとおりです。そのとおりですけど、ただ権利を主張するだけの労働者なんてどこも雇ってくれませんよ。そこんとこお忘れなく。

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はっしー
ニュージーランド在住の元プログラマ。 日本のIT企業で月100時間超えの残業を経験して過労死しかけたことをきっかけに国外脱出、毎日定時帰りの生活と年収アップを実現させる。脱社畜、英語、海外移住などをテーマに情報発信中。Twitterフォロワーは1万8千人以上。ニュージーランド永住権ホルダー。

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