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『「SIer が天職です」って人はどこにいるの?』への反応まとめ

はてな界隈ではとかく叩かれがちなシステムインテグレータ(SIer)業界。楽しく働いている人はいないのか? いたら教えてほしい! という思いで書いたこちらのエントリ、予想以上に反応をいただけてとてもうれしく思っています。

「SIer が天職です」って人はどこにいるの?定期的に上がってくる SIer 辞めましたエントリ、またはてなを賑わせているようで。 anond.hatelabo.jp 詳...

天職だという意見、SIなんて全然楽しくないという意見、どちらも興味深く読ませていただきました。

ブコメでいただいた内容を中心にまとめてみましたよ。

(以下、引用文青字は筆者によるもの)

Contents

楽しいよ!

筆者が一番聞きたかった「天職です!」という声から。皆さんコメント書いていただいてほんとにありがとうございます。SIを楽しんでいる方がかなりいることがわかり、希望の持てる結果となりました。

お、自分はSIerというかSIは自分の天職と思っているんだけど…。華やかさはないけどサービス作ってるって観点ならフロント系と同じだし、なにより強力なハード、高価なソフトを扱えるのが魅力かなあ。

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/perl-o-pal

SIer、天職だと思ってますよ。UI系は全く興味ないけど、ビジネスルールとかデータモデルとか、長年かけて築きあげられた仕組みを理解して一般化する過程がすごく楽しい。

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/nyop

「SIer」って言葉自体が糞SIを指すようなイメージになってるからアレだけど、本来のSIらしく顧客ヒアリングから何が必要なのかを見つけて提案し、実際に導入までやって喜ばれる仕事をするのは楽しいし、やりがいあるよ

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/masatomo-m

何度か書いてるけど顧客と折衝して要件をしっかり仕様に落としてレガシーで低コスト・低リスクで冗長性のあるシステムを作って効果測定して客の喜ぶ顔を見る。クソみたいな現場も多いけどやりがいのある仕事だよ。

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/oktnzm

SIerとしての仕事は好きだが、「〜といった仕事が大好きで、毎日楽しくてしかたない」と書かれた部分は僕も嫌いです。そこは本質じゃない。プログラム書くのも好きだけど、現実の問題をモデル化→ITで解決が楽しい

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/mak_in

お客さんと仕様を詰めて、設計して、プログラマさんに指示を出すあたりは普通に楽しいですよ。Excelさえ、使わずにすめばなー。

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/kmaebashi

クライアントの要求を分析し、システム設計に落とし込んで開発し、納品するという部分は楽しいと感じている方が多数いらっしゃるようです。SIer ドロップアウト組の筆者もこの部分は同意できます。現実世界をITの世界でどう表現するか、それによってどんなソリューションが可能になるかを考えるのっておもしろいです。

2,3万人以下にしか役立たないWebサービスの開発より、社会インフラ級のシステムの設計のほうが、わくわくしませんか (私は開発もやるが)。仕組みも要件も複雑になりがちだけど、高い能力の人材に相応しい仕事と思います

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/namisk

ごもっとも。日本中をつなぐ ATM の仕組みとか、鉄道会社の予約・発券システムとか、作った人は本当にスゴイと思います。巨大でクリティカルなシステムの仕事ならやりがいも大きい。なんのかんのでそれができるのは大手 SIer だけなのは確か。たまに不具合が起こると途端に叩かれるのでそればかりが目立ってしまいますが、普段それらのシステムが当たり前に使えているのは大変なことなんですよね。

SIer勤務だけど毎日コード書くし楽しんでやってるよ。iOS/Android案件やらJavaScriptのSDK開発やら一般的なSIじゃないけど。ITゼネコン的な仕事はノーサンキューだし、SIビジネスが好きとは言えないが受託開発自体は好きだ。

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/peperon_brain

Sierの定義、受託開発メインの企業であればSierと言える気がして、うちはSierでアジャイルやってるけど、面白いですよ。

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/k1take

いわゆるステレオタイプな SIer とは違うタイプの方たち。ITゼネコン構造から離れてアジャイル採用しているのが共通点でしょうか。筆者はニュージーランドで就職して初めてアジャイルに触れましたが、自分で仕事をコントロールできて、毎日何かを達成してる手応えがあるのがうれしい。ITゼネコン的な構造にいると、ほぼもれなくウォーターフォールに飲み込まれるので、アジャイルのアプローチはほぼ使えなくなりますからね……。

楽しくない!

世の中には皆がやりたくないから給料が良かったり、人数が必要とされる職業があり、金融システムのSIerはその筆頭だと思う。SIerと言っても金融/官公庁とその他は世界がまるで違うのも重要。その他は客次第では楽しい。

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/tpircs

そもそも金融のSIerは誰もやりたくない仕事なんだ……という意見。SIer ビジネスでは、ときとして誰もやりたくない仕事に多数の人間が駆りだされてしまうのは確かです。システム開発は巨大になればなるほど難しく、失敗のリスクも高い。そして一度失敗すると、それに関わる何百人というメンバー全員が犠牲者になってしまう。これが SIer = ブラック というイメージを強くしているとは言えないでしょうか。

なんか言おうと思ったけど何もいえるようなことが無かった。派遣の人月商売って立場と守秘義務が心とプライドをへし折るんだ。いつからか人に仕事を説明するとき、事務屋って言うようになったよ。ただ悲しい。

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/suzuki84g

心の底からの嘆きが聞こえてくるコメント……。「事務屋」という言葉から悲哀が漂ってきます。ほかにも「SIer は事務職だから」というコメントがいくつかありました。IT業界に勤めているのに、自分の仕事を胸を張ってIT屋ですと言えないのはつらい。特に、自身が IT に強い興味や愛着をもっている場合は。

現役SIerですが、カネのために割りきってますよ。開発は下請けに丸投げだし、昇進しても計数とにらめっこ、部下の見積もりレビュー、社内政治。スタッフ部門の作る社内システムもとてもIT企業が作っているとは思えない酷さ。

週末に自宅の環境でプログラム書いたりハッカソン出てる時が一番楽しいです。
id:favoriteonline

ブログにいただいたコメント。プログラム書くのが好きで、その欲が SIer では満たされないというところに親近感を感じます。実際に手を動かしてコード書きたい人には、SIer は向かないんでしょうね。

SIer 辞めました

私もSIerやめましたね。
今は、公認会計士を目指そうと頑張っているところです。
SIerって、残業多い、勉強せろ、新製品をマークしてこい、あれやこれやで、面白さがわからんのですよね。

面白いと言う人は、周りから聞いたことないです。お客さんからボコボコ言われるし、社内ではチームによっては助けてくれないし。

そんなこんなで、ITに興味がなくなりましたね。。。
id:bring2emerald7

ブログにいただいたコメント。「チームによっては助けてくれない」というのは、自分のチームのクライアント以外の仕事をやってはいけないというルールがあるからでしょうか。筆者の前職でもそうだったので、会社全体で知識が共有されにくいという問題があるのかもしれないですね。公認会計士試験も大変だと思いますががんばってください!

新人時代から会社にほったらかしだった時、SIerの研修受けて仕事貰えて納品した時は嬉かった。また折衝能力を鍛えられて良かったと思う。辛かったのは自社の規模を超える案件やらされて鬱病になりクビになった事。

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/mani023

せっかく採用した人材を潰して辞めさせてしまうなんてもったいない……。大きなプロジェクトほどやりがいも大きいけれど、失敗した時の人的ダメージも大きいんですよね。マネジメントの失敗の罪は重い。

あたしは3年間SIerで営業職やってました。会社から嫌な視線を浴びながら社外システム&SEさんを引きつれて新サービス提案する快感はめちゃ楽しかったです。退職時スカウトされました。もちろん行かなかったけど。

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/jetblue

新サービスの提案楽しそう。僕は入社1年目からすでにスタートしたプロジェクトに放り込まれていたので結局その機会はありませんでした。なぜ辞めるに至ったのかお話聞いてみたい。

はてなにはいないよ

「どんどん情報発信していくべきだ。」← SIerは普通、社内からのFacebook、Twitter、Blogなどにはアクセス禁止だからねぇ

http://b.hatena.ne.jp/entry/285060922/comment/hobbiel55

そういえば筆者の前職でもそうだったことをすっかり忘れていました……とほほ。一時ははてなダイアリーですらアクセス禁止になって、技術ブログが軒並み読めなくなったので管理部門に直接クレームつけたことを思い出しました。なつかしい。

ブログ

takashiitou1977.hatenablog.com

こんなブログを書いてくださった方が。SIer の経営者の方だそうです。SIer を楽しい仕事にするためにクリアしなければならない問題と、現在の SIer が抱える闇について、とてもわかりやすくまとめられています。こういう方に「SIer 楽しいよ!」って情報を発信していただきたいと思う(僕には無理なんで……)。

 

まとめ

繰り返しになりますが、楽しく SIer の仕事をしている方から多くコメントがついたのは非常にうれしいです。とかく非難されがちな業界ながら、適切な環境があればおもしろい仕事なんだと思います。

一方で、いわゆるハズレの仕事を引いてしまうと、とんでもない地獄を見るのもまた事実。まさにデッド・オア・アライブ。楽しく働くか、心身壊してギブアップするしかない。ここまであたりはずれの大きい業界も珍しいのではないでしょうか。

楽しく SI を行うノウハウがもっと共有されて、ダメダメな会社、ダメダメなマネジメント層はさっさと駆逐されてほしい。社会を支えている産業なのは間違いないし、本質的に楽しい仕事であることも間違いない。ならば、それを地獄に変えてしまうのは、仕組みの問題、仕事を回す組織の問題でしょう。

すべての働く人に、明るい月曜日が来ますように。

ABOUT ME
はっしー
ニュージーランド在住の元プログラマ。 日本のIT企業で月100時間超えの残業を経験して過労死しかけたことをきっかけに国外脱出、毎日定時帰りの生活と年収アップを実現させる。脱社畜、英語、海外移住などをテーマに情報発信中。Twitterフォロワーは1万8千人以上。ニュージーランド永住権ホルダー。

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