仕事・働き方

セブンコード濱野社長のブログに淡々と反論してみる

WEBプロモーション企業・セブンコードの社長、濱野秀昭さんがテレビ番組に出演し、「残業をしなきゃ日本の質は下がる!」と発言したことが原因で炎上しました。

togetter.com

これを受けて、濱野さんが自身のブログを更新。あらためて自身の主張を発信していますが、火に油を注ぐ結果となりさらに燃えています。
www.syachi9.black

ブログの中身を読むと、決して残業を推奨しているわけではなく、むしろ濱野さんも残業反対派のようです。しかし、残業を減らすための”対策”が全然対策になっていないので、燃えるのもやむなしといった感じですね。

長時間労働反対派の僕からすれば、とても無視できないトピックでありますので、ここはできるだけ冷静に淡々と反論していきたいと思います。

Contents

濱野社長の主張をまとめてみる

ブログに書かれている濱野社長の主張をまとめると、次の通りです。

  1. 残業は悪。経営者も残業代を払いたくない。
  2. 現状の労働基準法では、長時間労働には追加の残業代が必要とされている。これは成果が時給で評価できることが前提である。
  3. 実際の仕事は時給で評価できず、社員が給料分の成果を出さないことがある。
  4. その解決のためには成果報酬の導入が必要である。
  5. 成果報酬を実現するにはアウトソーシングや派遣社員を活用するしかない。
  6. しかし、理想として、できるだけ正社員を雇いたい。
  7. 対策として、セブンコードでは残業代を支払っていない。代わりにボーナスを支給している。

いやいやいや、それ対策になってないでしょ。

残業は悪、という一点については僕もまったくの同意見。でも、残業代を支払ってません、はアウトですわ。実際には30時間分のみなし残業代が支給されている*1 ようですが、だとしても、それ以上の超過勤務が発生したら残業代の支払い義務が発生しますからね。*2

しかしこれは濱野社長の言う “ネットの正論” であって、百も承知のことだと思います。彼が主張したいのは、「法律はそのとおりだが、残業代を払ったところで、社員はそれに見合う成果を出さないじゃないか!」でしょう。

中小企業の社長の本音としてわからなくはありませんが、この意見には大きな誤解が含まれています。

給与は成果に対する報酬ではない

まず、濱野社長の給与に関する認識が根本的に誤っています。ブログの本文中に

長時間労働 = 成果が増える = その分の給料も払え

という図式が成立しますね。

とありますが、この等式は正しくありません。正確には、

長時間労働 = その分の給料も払え

です。給与は、労働者が生み出した成果に対する報酬ではなく、労働そのものへの対価だからです。

どうしても成果に対してのみお金を払いたいというのであれば、濱野社長がブログでも述べているとおり、アウトソーシングするしかありません。

新卒が成果を出せないのは当たり前

それでも濱野社長には理想があり、なるべく正社員を雇いたいのだそうです。実際、セブンコードでは中途採用のほか新卒採用も行っています。

しかし、成果に対してのみ報酬を支払いたいというのなら、なぜ新卒を雇うのでしょう。

当然ながら、新卒社員は即戦力となりうるべきスキルを持ち合わせていません。セブンコードでは入社したその日から現場に配属されるそうですが、この時点で彼らが会社に対して与えられる価値はほぼゼロ。教育コストを考えたらマイナスです。

給料並みの成果を出してくれる社員だけがほしいなら、経験者採用のみに絞るべきですし、新卒を採用するなら「給料分の成果を出せ」などと言ってはだめです。それは「不可能なことをやれ」と言うのに等しい。必要なスキルを身につけるための研鑽は新卒社員として自発的にやるべきですが、会社側が教育と成長の機会を提供するのもまた必要なことです。

濱野社長が正社員登用にこだわる理由については、詳しく聞いてみたいところであります。

ワーク・ライフバランスのコンサル受けてみてはいかがですか

色々と発言に問題があるとはいえ、濱野社長が「残業を減らしたい」と考えていることは事実。同時に、「みんなが給料分の成果をだしてれば、残業なんてない」とツイートしていることからもわかるとおり、「残業なしでは会社が回らない」というジレンマにも悩まされているようですね。

ここはぜひ、ワーク・ライフバランス社のコンサルを受けてみてはいかがでしょうか。長時間労働問題解決の先駆けで、日本政府の民間議員としても活躍する小室淑恵さん率いる、その名の通りワークライフバランス実現サポートを手がける企業です。

2016年3月に発売された小室さんの著書には、「残業は減らしたい。しかし残業なしでは仕事が回らない、業績も下がる」というジレンマから抜け出し、残業削減と業績アップを同時に成し遂げた事例が数多く紹介されています。

セブンコードさんは自らブラック企業を名乗るという逆張り的なブランディングを行っていますが、ここは「ほこ×たて」よろしく、「絶対に定時で帰れないブラック企業 VS 絶対に残業させないコンサルタント」みたいな対決に仕立てて自社コンテンツにすれば、結構盛り上がるんじゃないでしょうか。個人的にぜひ読んでみたいので何卒ご検討いただければ幸いです。

「残業しない」を「がんばらない」と同一視しないでほしい僕は長時間労働反対派だ。 かつて勤めていたIT企業で、100時間を超える残業で死にかけた経験があるし、職場の先輩が過労で倒れて救急...
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はっしー
ニュージーランド在住の元プログラマ。 日本のIT企業で月100時間超えの残業を経験して過労死しかけたことをきっかけに国外脱出、毎日定時帰りの生活と年収アップを実現させる。脱社畜、英語、海外移住などをテーマに情報発信中。Twitterフォロワーは1万8千人以上。ニュージーランド永住権ホルダー。

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