先日、星野源を聞いて泣いた話を書くくらいには気分が下降気味だったので、そのときに感じたことをもうちょい書いてみます。
筆者は今でこそプログラマとしての就職を目指していますが、大学時代はバリバリの文系。名古屋大学文学部人文学科日本史学研究室というところにおりました。
その卒業式での話。文学部の学生は学部棟の一室に集合し、学部長から学位記を授与されます。当時の学部長は、最近ではしりとりのエキスパートとしてちょいちょいテレビに出演している、日本を代表する言語学者の町田健先生でした。
学位記をいただいてから、町田先生が卒業生全員に、あるメッセージをくれました。ジョブズやホリエモンやらの卒業式のスピーチは有名ですが、筆者が実際に経験した中で、記憶に残っている卒業式のスピーチはこれだけです。今でも忘れることができません。
みなさん、卒業おめでとうございます。
社会人として就職される人、大学院に進学される人、進路は様々だと思いますが、これから先、楽しいことばかりではありません。
つらいこともあると思います。涙が出るほどの困難もあると思います。
しかしそんなときは、どうか下を見てください。あなたより不幸な人はたくさんいますから!
身もふたもないけどこれも真理
……いやね、
膝から崩れ落ちるかと思いましたね。
町田先生そんな身もふたもないこと言うなよ! とそのときは思ったものです。おそらくその場にいた卒業生の誰もがそう感じたんじゃないでしょうか。つらいときに下を見ろって、あんたプライド無いの? みたいな。
でも今にして思えば、それもひとつの真理なのかもしれません。仕事に行き詰まってもうダメだと思っても、恋人と別れて悲しくて死にそうでも、一文無しになってしまっても、世界を見渡せば、もっとつらい状況に置かれている人は大勢います。それでも、そんなつらい状況に負けずに、みんなたくましく生きてるんですよね。
そう考えれば、自分がいま抱えている苦しみや悩みなど、なんてことないものに見えてきます。仕事がうまくいかないのなら、やり方を工夫するか、思い切って転職してしまえばいい。恋人を失って悲しくてもまた新しい人を探せばいい。お金がなくたって、公的補助や家族を頼ればまたやり直せる。極端な話、生きてさえいれば、何度でも立ち上がることはできるんです。
自分が救われるならそれでよし!
この年末年始、海外での就活がうまくいくのか不安になり、気分が沈むことが多くありました。しかし町田先生の言葉を思い出して、別にそんな悩むことでもないかなー、と、最近では考えるようにしています。
もちろん成功させるために全力は尽くしますが、うまくいかなかったとしても、人生終わるわけじゃありません。30歳目前にして、英語勉強してニュージーランドに留学して、無事学位を取得できたことは、それだけで自分の糧になっています。27歳まで日本から一歩も出ることのなかった自分が、南半球で大勢友人を作ることができたってのも、数年前までは想像すらできなかった未来なんですから。
みなさんも、人生詰んだわ―、もうダメだわ―、と落ち込んだ時には、ぜひ自分より不幸な人のことを考えてみてください。
……と書くとほんとに身もふたもないアドバイスなんですが、自分を救うために有効なら試してみる価値アリです。「自分はまだマシだな」と思えたら、「もうちょいがんばってみよう」って気にもなってくるんでね、っていうお話でした。